日本の心~和室とは~
日本人は昔から、美しい四季を楽しみ、自然を感じることを大切にしてきました。
現代に残る日本の歴史的建造物には、当時の文化や暮らしを反映した日本独自の様式が多くみられ、近年の住まいも、古き良き日本の伝統を受け継ぎながらも進化しています。そしてそこに住む人たちの感覚も変わってきたように思います。
今、和室がある住宅も少なくなり、和室でのマナーも常識と言われていたことすら、わからない若い世代が増えているのも事実です。
ここでは、まずは和室とはどんなものを言うのか?一緒にみていきましょう。。
和室の知識
和室とは伝統的な日本の家屋に、畳みを敷き詰めた部屋(座敷)のことを言います。
部屋の遠いところに床の間があります。
和室のスタイルには「寝殿造り」「書院造り」「数寄屋造り」の大きく3つに分けられます。
平安時代に貴族が住んでいた寝殿造りは、自然を感じるため自然との調和を考えた佇まいになっています。(代表例:平等院鳳凰堂など)
部屋全体に畳を敷き詰めるやり方は、安土桃山時代に「書院造り」と呼ばれるようになりました。書院造りでは、襖や障子などで間仕切りされた部屋が特徴です。(代表例:二条城二の丸御殿など)
質素でありながら自由な佇まいを見せる茶屋・茶室は、千利休が安土桃山時代に確立した建築様式「数寄屋造り」と呼ばれています。
和室の 真・行・草
住宅建築専門用語辞典にも、和室のスタイルには「真・行・草」があることが書かれています。
もともと「真・行・草」は書道の書体の事で、正確に基本的という意味の「真」、その「真」をやや砕けた形にしたものを「行」、さらに省略して柔らかくしたものを「草」と言います。
「真の和室」とは、書院造りであり、床の間、床脇、長押、書院が備わっている部屋をいいます。
「行の和室」とは、真の和室をやや砕けたものにしつつ落ち着きのある部屋のことです。
「草の和室」とは自由度が高く、千利休が広めた草庵風の部屋をいいます。
和室でのマナー
礼儀作法の真・行・草
お辞儀の作法には立礼と座礼があり、それぞれ「真・行・草」があります。
一番深いお辞儀を「真」のお辞儀といい、頭を深々と45度下げるお辞儀で、深い感謝やお詫びなどで充分気持ちを伝えたい時に使います。
<「真」のお辞儀>
次に「行」のお辞儀で30度頭を下げます。
このお辞儀は一番よく使うお辞儀で感謝や歓迎時に使います。
<「行」のお辞儀>
一番浅いお辞儀が「草」のお辞儀で15度頭を下げます。
これは、お客様とのすれ違いや、軽い挨拶などをするときに使います。
<「草」のお辞儀>
座ってのお辞儀の仕方(座礼)は立ってのお辞儀と同じく「真・行・草」があり、すべて正座で行います。「真」は畳につけた両手をを膝からやや遠ざけて人差し指と親指で三角形を作って、深々とお辞儀をします。(立礼の45度と同じ意味です)
「行」は畳に付けた両手は膝の前で三角形を作りお辞儀をします。その際、人差し指、中指、薬指、小指の指先の第一関節程度を畳に付けましょう。(立礼30度と同じ意味合い)お辞儀で一番よく使うおじぎでもあります。
「草」は中指が畳に付いている状態で三角形を作り、浅くお辞儀をします。(立礼の15度と同じ意味合い)
この3つのお辞儀は立ったお辞儀と同じく、場面や内容に合わせて使い分けることが大切です。
畳の上の歩き方
畳の上を歩く時、歩幅は畳一畳の縦の長さで4歩半ぐらいを目安にしましょう。(お茶の世界では6歩が目安になります)
背筋を伸ばして視線が下にならないようにして、5メートルほど先を見ます。お着物の場合は、手は自然に太ももにつけて、腰から移動するような気持ちで歩いてみましょう。猫背では美しさが半減します。腰から移動するような気持ちで歩いてください。一本の線を両足で挟むようにして歩くと美しいですね。一本の線上を歩く歩き方では和室は美しく歩けません。和装の歩き方は自然な美しさを心がけるとよいと思います。
畳の縁は踏まない
和室の大事な決まりごととして、「敷居や畳の縁を踏まない」ということは聞いたことがあるかもしれません。では、なぜ?踏んではいけないのでしょう。
畳の縁(へり)の色柄は、かつては「格式」を表すものだったため、地位や身分によって制限があったそうです。家の格式を表す縁(へり)。それを足の裏で踏みつける行為はとても失礼にあたりますね。ですから、今でも日本では大事に守られている作法なのです。
諸説ありますが、昔は縁の下に忍者などが隠れていて、
へりから刀が出てくる!から危ない‼などともいわれています。
また、敷居は、その家を支える大事な柱と同じ。何度も踏みつけると家が傾くなどといわれ、
敷居はまたぐのが礼儀です。和室に入ったら、この二つは特に注意しましょう。
立ち姿でわかる品の良さ
お着物で気をつけたい事と言えば、足元の美しさです。
お着物姿は美しいのに、写真を撮って後で見たら、外股になっていた!なんてことはよくあります。案外足もとへの気遣いに欠ける方が多いようです。
お着物の時は、両ひざの内側をつけて内ももをつけるように意識すると、美しい立ち姿、歩き方になりますので、練習してみてくださいね。
片方の足を少し引くと、長く安定して立つことができます。
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なでしこ和美人越後
新潟のマナースクールマナクル 代表 前山豊子